父帰る/屋上の狂人

シアタートラム / 18:00 / K列 17番

◇あらすじ

『父帰る』

20年前にオンナを作り、借金だけ残して出ていった父親が、カネもなくなり年が寄って家族が恋しくなったとノコノコと帰ってくる。母、弟、妹は迎え入れ杯を交わそうとするも、賢一郎(草なぎ)だけは「自分に父親がいるとするならば、それは仇である」と突っぱねる。父は怒るも、賢一郎は積年の恨みを切々と語り、結局父を追い返してしまう。母、妹に哀願され、弟と共に裸足で父を探しに行く。

『屋上の狂人』

義太郎(草なぎ)は毎日屋根へ上り、金毘羅サマだの神殿だの天狗が踊るだの言っている。生まれつき狂っていて、庭の木などに登ってしまうため、大木も含めすべて伐採してしまったという。医者に見せても治らず、これはキツネにつままれたか、いや、高いところにヒョイヒョイのぼるのが好きだからサルに憑かれているか、と言われ、なんとか直したいと願う父。そこに金毘羅様が降りて来てお告げを言うという巫女が、治らなければ金は要らぬと現れる。その巫女の言う通り、義太郎を松で燻しはじめたところ、弟が帰宅。弟は「屋根にさえのぼれれば、兄は幸せである。兄は正気が戻ったとしても、24にもなって何も知らぬことでかえって不幸である。このままでいることが兄は幸せなのだ」と父を諭し、のんびりと兄と夕日を眺める。

◇感想

『父帰る』『屋上の狂人』共にテーマは「幸せとは」につきると思う。

「父帰る」では弟に父を呼び戻すよう命じ、最後自分も家を飛び出します。貧しい暮らしを父親に、そしてあの暮らしを忘れたかと母や弟に語る中で、どれだけ父親を欲していたか気づくんですね。

「屋上の狂人」では上記しましたが、最後の弟のセリフが全てですね。「人間、そのままで何が悪い」ともとれます。また父が「これでは(兄は)一生、お前(弟)の荷物になるのだ」ということを言いますがこれもまた真実ですよね。父が気にしていたのは世間体だけではないってことよね。

ストーリーはシンプルでとてもよかった。昭和初期(それ以前ですか?)のかおりもよかったし、あの方言もとても味があってよかった。菊池寛ですかー。ごめんなさい、わたし、はじめて知った気が…。(え?) 戯曲というと、シェイクスピアのように台本のようになってるのかなー?読んでみたくなりました。

舞台も場転がなく、BGMもオープニングとエンディングの暗転部分だけで、あとは淡々とセリフのみが聞こえるシンプルなもの。時間も短いと聞いていましたが、これ以上あっても飽きるし、キャパもあれ以上あるとマイク必要だし、あの雰囲気ってできないと思う。完成されているなと感じました。

◇キャスト

◆草なぎ剛:黒田賢一郎/勝島義太郎

「シス・カンパニー公演」となっていたので、草なぎくんはどんなんだろー?と思っていましたが馴染んでいました。なんというのかな。どちらの役も、家族と対する側の役でしょ。
(賢一郎)と(母・弟・妹)+ちょっと別の感情を持つ(父)
(義太郎)と(父・母・他)+ちょっと別の感情を持つ(弟)
みたいな。なので他のキャストさんといい具合に離れていて、いい具合に馴染んでいる感じ?んで最後は理解し合える、みたいな。プラス、賢一郎と義太郎も全く別のキャラクターで、2度オイシイって感じがよかった。

◆勝地涼:新二郎(賢一郎の弟)/末次郎(義太郎の弟)

今回の公演で一番よかった方デス!(いや、草なぎくんは別格…というか、やはりスマフィルター通っているので、並列では比べられません。)

どちらの演目でも賢一郎・義太郎ほどキャラが立った役柄ではありませんが、「家族、そして兄を思いやる好青年」という点では、感情を入れて演技しやすい役柄かもね。でもその点を差し引いてもよかったと思います。

公演が公演なので、シス・カンパニー所属かと思ってましたが、フォスター(←瀬戸朝香がいる)所属だそーです。ふーん。今後、また舞台で観れるといいな。

・・・あとはいいか。西尾まりと、高橋克実が観れたのも嬉しかったッス。
ろれつが回らないのかなんなのか、草なぎくんだけではないけど、みなさん結構カミカミでした。カムだけではなく、セリフミスもあったよーな・・。

「父~」の草なぎくんはフツーに「お父さんがいるとするなら」と言っちゃったし。「屋上~」では父役の沢竜二さんが「スエは…」と言った後、ちょっと間があき「ヨシは・・」と言い直していたり。(これって間違いですよね?正しいセリフじゃないよね?)

あとは「屋上~」では草なぎくんのセリフが出る度に、「ツヨぽんカワイイ~~」的な歓声が上がり、少々ウザかった。かわいいけどさ、観劇中はやめようよ。うん。

◇劇場「シアタートラム」

とても雰囲気のいい劇場でした。ホールは狭いけどそこから客席に入る際、光のトンネルみたいな通路になっていて、上手に異空間に誘うって感じがしました。
客席は狭い、狭いって聞いてたせいか、かえって広く感じた(^_^;

イスがベンチのようになっていて、まぁ、あれで2時間半やられたら、ちと辛いかもね。間口も広くて、客電が…サスっていうのかな?舞台上のライトみたいになっていておもしろかった。

そうそう席につくと幕はなくセットが見えるのね。「父~」はその客電が落ちると、草なぎくんと、母役の梅沢昌代さんが「板付き(舞台が明るくなった時に既に舞台上にいること)」になるのね。あの暗転、すっごく真っ暗なんだけど、それでも音も立てずに板につけるのは驚きました。

◇まとめ

こういう雰囲気で、向田邦子作品を舞台でみたいなー、と感じました。やはり場転・暗転が少なく1時間くらいで、テンポがいいけど、テーマはどっしりと…そして少しコミカルに「家族の幸せとは」みたいなのを描いたような。

上で「つよぽん、かわいい。あはーん」って言ってた観客ウザッ!!!と言いましたが、やはり「屋上~」のつよぽんはホントかわいかった!とわたしも思います。

★追記

そうそう。フジテレビの笠井アナが来てましたよね。最後に劇場係員に案内されて、スーツの男性が2人ほどいらしたので誰かと思ってたけど、帰りロビーで笠井アナを見かけました。「とくダネ!」でコメントされたんですね~。ちょっとうれしいですね。

【おすすめ度(1-10)】5.0
【もう一度観にいきたいか】次観るなら、戯曲読んでから観たいです。
【本日のキャスト】
『父帰る』
黒田賢一郎: 草なぎ剛
その弟 新二郎: 勝地涼
その妹 おたね: 西尾まり
彼等の母 おたか: 梅沢昌代
彼等の父 宗太郎: 沢竜二

『屋上の狂人』
狂人 勝島義太郎: 草なぎ剛
その弟 末次郎: 勝地涼
その父 義助 : 沢竜二
その母 およし: 梅沢昌代
下男 吉治 : 富川一人
女中 : 西尾まり
巫女と称する女: キムラ緑子

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