No.9-不滅の旋律-

赤坂ACTシアター / 夜 / 1階 X列 36番
ネタバレです。
長いです。
メモなど取っておらず、日も経っているため、印象的なセリフ等もありましたがそれは書いてありませんし、レポではなく個人的な感想です。間違っている、解釈が違うなどあるかもしれません。ニュアンスですニュアンス。

3時間超ですが、どこもカットできない大作です。

◇開幕前

非常に静かで、
劇場内での飲食はご遠慮くださいますようなんたら、携帯電話の電源をお切りくださいますようなんたら、録音・録画・撮影はかたく禁じられております、とか……そういう放送が一切入らなかったような。
(たぶん係員が肉声でアナウンスするだけだったような)

それがなんか、とても印象的だった。
(劇団四季なんかは、役者がアナウンスするから「あ、青山さんの声だ」とか思ったり、オケピ!のときは確か、三谷幸喜自身が笑いも交え、自らアナウンスしていたと思うので)

マイクを通したアナウンスがないのって、新鮮。
考えすぎかもしれないけど、難聴であったベートーベンの内の静けさをあらわしてるのかなと解釈しましたが、…考えすぎか。

◇開幕

その静寂から、開演と同時に異音が。舞台上部からは、ピアノ線なのかな…が何本も垂らされ、ベートーベンの耳鳴りなわけですよね。

緞帳はないので、板付ではありませんが、ベートーベンが苦しむところから。
この耳鳴りはゴーーとかキーーとかいう異音は、ベートーベンの乱れる心情をも表し、劇中、効果的にたびたび出てくる。

この耳鳴りとともに、負の響きをもって出てくるのが、父・ヨハンの存在です。
これがズッシリとした重さを感じる存在感。
中盤からは、医者の姿として、終盤は甥・カールに対する自分自身の中にヨハンが現れるのです。
もう、目をそむけたくなるくらいに、こちらの心までギュッと握られるような苦しさ。

◇仕掛け

さて、舞台上は。
中央に、更に正方形に近い低い舞台があるって感じ。
舞台袖から役者が出てくるのが見えていて、もちろん、ほんとの袖から出てくるところから演技をされているのですが、その中央の舞台に上がることでその場面に加わるというか。
(語彙がアレで伝わりにくくて申し訳ない)

吊り物を上下することのみで、その中央の舞台が、劇場、ピアノ工房、ベートーベンの住まい、酒場…と場面転換するというシンプルな機構。

◇生演奏

更に特徴的なのは、その中央の舞台のすぐ横。
上手に1台、下手に2台、アップライトピアノがあるのが特徴。
響板(っていうのかな斜めの板)が見えるように、裏板が外されていて、ストレートな響きが聞こえるようになっていました。
(もちろん3人のピアニストの素晴らしい腕のおかげでもある)

ベートーベンの小曲まではよく存知あげないのですが、ピアノソナタや交響曲の一節が左右のピアノから、バランバランと沸き起こる生演奏。
自分に閉じこもるベートーベンの頭のなかでは、常にさまざまなメロディが、鳴り響いていて、心のありようによって、響きが荒々しくもなるしひっそり消えいりそうにもなる。。。感じがいたしました。(わたくしの解釈です。)

◇キャスト

みなさんが語られているので、不要かと思いますが
少しだけ。

◆稲垣吾郎

最初から最後まで、そこにいるのは「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」であり、カーテンコールでやっとアイドル「稲垣吾郎」が急に出てきて、舞台上が華やぎましたね。
いや、劇中もちょっと指揮をするシーンで、ハンガーが入ってるのか?という感じの肩の堅さで、「ゴローちゃん」をホッコリ感じましたが(笑)
自身の音楽の理解者であり、自らも心から愛し求める相手には、ことごとく去られるという天才の孤独。
カールがいつまでの子どもの姿として見えている件(くだり)は、もう目を塞ぎたくなるほど、いたたまれず。
そこから苦悩・悔み、そして歓喜に向けてのラスト数十分は、こちらが息苦しくなるほど。

◆大島優子

初舞台というから驚き。
歯に衣着せぬ、でも嫌味のない やんちゃな青年期。
早くにベートーベンの聴力に疑いを持ち、彼の人格に反発を隠さない、その反面、彼の才能とのギャップに、メイドになると言う行動力。

何度となく、彼のもとから去っていくヨゼフィーヌと彼の打ちのめされる姿を、自身の想いを隠し見守る、壮年期。
隠してなかったかもしれません、なのに気付かれない。
その報われない想いを超え、彼を支え続ける。
ラストはひざまづくベートーベンをきりりと諭して温かく包みこむ姿、まさに「聖母・マリア」。
この成長が衣装や髪形だけではなく、非常によく演じ分けができていたと感じます。
このマリア・シュタインは、実在しない女性ではありますが、彼にこのような女性と、晩年の心のやすらぎがあって欲しいと願わずにはいられない。

◆マイコ

ああ、こういう演技ができる役者さんだと思っていましたよ、という期待通りの。
ナネッテはピアノ製作者という技術力でベートーベンを長年、支えていくのですが、逆に、大きく彼に裏切られたとも言える別れのエピソードが、とても悲しい。

◇アンサンブル

特に酒場のシーンなどで、「アンサンブル、デケーな…」と思ってました。女性陣はみなマダム・テナルディエになれると思ってました。

ら!ラストで、全員ソリストになれるんじゃ?というほどの声量・声質で、すばらしい合唱。デカイと思ってごめんなさい。

◇他

もうね、長いのでやめますが、
高岡早紀の妖艶さ
長谷川初範・片桐仁の胡散臭さ、
田山涼成の威圧感
どれをとっても見劣りしない。

演出・白井晃が結局いいということなのでしょうか。
そうそう、この13日ソワレでは、(いや、他の回は知らないのですが、毎回ではないだろう) センターブロックのW列(音響ブースの前)が関係者席だったようで、白井晃さんが観覧していました。

あとキャスト書いてて気づいたけど「薬丸翔」って、薬丸くんのお子さんかな。

◇おはな

様々なところから、様々なキャストへ2階~1階ロビーまでビッチリとお花が飾られていましたが、(写真取れなかったけど)
佐渡裕さんから、ゴローちゃんへの花がありました。
題名のない音楽会の卒業、いまだに寂しい。
ウィーンでがんばって欲しいです。と、舞台と関係ない話しが出たところで終わり。

【おすすめ度(1-10)】8
【もう一度観にいきたいか】行きたいですねー
【キャスト】
稲垣吾郎/大島優子
片桐仁/マイコ/加藤和樹
山中崇/深水元基/施鐘泰
広澤草/小川ゲン/薬丸翔/山崎雄大
高岡早紀/長谷川初範/田山涼成
ピアノ:日下譲二/末永匡/佐藤文雄
演出:白井晃
脚本:中島かずき
音楽監督:三宅純

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